遅ればせながら、
館林美術館の展示見て来ました。今回は色のついた彫刻がテーマの展覧会。
正直、彫刻はあまり興味がないので、あまり期待してなかったのですが、見てみたら、かなり面白かったです。
面白かった理由の一つに立体という自分の知識の薄いところの展示だったので、単純に興味が湧いたというのもありました。やっぱり、表現領域の拡張とか考えたとき、立体の方がどう考えても良いよなーというような。
とはいえ、自分の認識もそうでしたが、立体(彫刻)が平面(絵)よりあまり人気ないのも事実でありまして、その理由についても少し考えなくもないような。まあ、一番は、表現領域が拡張してるが故の接点の分かりづらさなんだと思いますが。
このへんに関しては、アニメ系のイラストとフィギュア(或いはコスプレ)の関係とかの方が分かりやすく問題を提示してると思いますが、立体が良いのか、平面が良いのかというのは、表現側と受容側の綱引き関係にあるというか、かなり難しい問題なようにも感じます。鑑賞が高度化していくと立体の方が有利なんじゃないかなーとか、やっぱり絵の方が分かりやすいよなーというような。
立体が一般的にどうしても弱いのは、まずもって、日常が立体だから立体は日常くさくなるというのが一番大きいと思いますが、それと共に大きさと背景の問題が一つにはあるのかなとは思います。
立体の場合、どうしても立体故に360℃見られるように展示して欲しいし。それが正解だとは思いますが、それが故に背景が抜けて、目の置き所に薄いというのが一つ立体の人気をいまいち落としている一因なんだろうなーとは思いました。
このへんは、村上隆さんの代表作「マイロンサムカウボーイ」なんかだと、フィギュア自体も大きくして、肌の塗りとかもフラットで表面積のインパクトも大きく、抽象的な背景美術もつけて視線をコントロールするというような展示をやっていたようですが(未見ですが)、なかなかそういう風に見せ方までコントロールするというか、相当練って、セットでやらないと立体を作品として見てもらうというのは意外と難しいのかなと思いました。館林の彫刻の小径とかも気がつけば面白いんですが、普段どうなんだ?というか、館林に限らず、全国的に公共スペースにある立体物というのが空気のようになってる感もありますし。
とはいえ、展示中、寺社等の立体造形を写真で見せる展示もありましたが、そういうように切り取り方によって、むしろ見やすいというか、見えて来るというか、立体を平面的に面白く見せる方法まで考えると、やはり、立体の優位性は動かないような気も最近はしています。ていうか、写真に板倉の雷電神社がありましたが、あんな面白い造形があったっけ?って思い出せなかったり(あとでまた行ってみようと思いました)
このへんは、今の時代における立体の在り方とも関係するというか、最近は、PC上で色んなものがミックス出来るのと、また、その反対にイベントや地域アートみたいな事が増えた事などもあり、結構、立体の需要というのも高まっている両面があるかなと。ゆるキャラが、着ぐるみ化するのに象徴的ですが。(これは正に大きさと見せ方=平面のイメージづくりの問題ですが)
特にイラストレーションの分野は、どのみち全てがフォトショップ上に置換されるものが大半なので、立体を写真に撮る形なども目の置き所が多くて良いような部分も無くはなく。もしくは立体(或いは写真)とのコラージュとか、そういう事でビジュアルの情報量をコントロールする方法も容易にはなってるかなと(但し、手間は段違いにかかるので、なかなかマス広告レベルのものじゃないとやらないのですが)
脱線しましたが、展示の話に戻ると、作品としてダントツで良いと思ったのは、ポンポンの「サント・カトリーヌ」という作品でした。
皮肉にもこれは色のついてない作品ですが、質感とか情感みたいな部分で非常に来るものがあって、100年以上の前の作品なのに凄いなと。
彫刻に関しては、やはり、色の問題をどう捉えるか?というのはあるんだろうと思っていて、それはそのままマチエールの問題にも至るんだろうなとも思います。立体の方が平面よりも複雑なマチエールを成立させるのが難しいのかなって感じもしますし。
と言った問題に対して、今回の展覧会は色のついた作品を提示してたんだと思いますが、そういう中で、現代の作品も含めて展示してあったので面白かったです。ていうか、質感に関しては意外と出るんだなというか、特に、ポスターにもなってる平櫛田中さんの作品は凄いなと思いました。服の質感とかも、木彫りに着色なんですけど、遠目には布地にしか見えんなという感じで。
ただ、やはり、それは服なら服面積、肌なら肌面積に対する質感なので、平面のインパクトに比べると薄いかなっていうか、細かいかなって感じもするんですけど。
このへんで、西洋のロダン的な彫刻というのは彫刻ならでの質感でゴツゴツしててインパクトあるなーとは思いますが、あれはあれでもう定型化してる気はするので、既に面白くは無いよなーというような気もしています。というか、上野の美術館とかでよく彫刻だけ見ないで素通りする人多いと思いますが(自分も割りとそのタイプですが)。
あと、このへんは、今の時代だと、当然ながら、インスタレーション的な事とも関わる話で、最後のカラフルな作品とかは正にそういう感じだったなーと。
と、以上。だいぶ話が脱線してますが、かなり面白い展覧会だったので、お近くの方は、よかったら見に行ってみて下さい。12月2日まで。POP WORKS2012の前の週までですね。